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五蘊と縁起の法
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仏教においては人間を五蘊、つまり五つの集まりと考えます。色、受、想、行、識の五つです。色とは肉体で受想行識は心のはたらきを四つの段階に分けたものです。仏教では人間を肉体と、それを拠り所とする心のはたらきからなるものとみて、この五つにより一人の人間の存在全体を表し尽くすと考えたものです。
お釈迦さまはプラジニアの智慧により五蘊は他に依存する関係で生成、消滅するだけで未来永劫変わらない実体などは無いのだと云う真理を悟りました。これを縁起の法と云います。それまでのバラモン思想にある未来永劫、消滅する事なく輪廻する我、つまり魂を否定したのです。 |
A |
説一切有部の実在説
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お釈迦さま入滅後、四百年程経つ頃になると、教団は四分五裂して、三十を超えるまで分裂しました。この中に説一切有部(すべてはあると説く集団)があります。彼等はジナナによりお釈迦さまの悟りと教えを解釈し、すべては実在すると云う仏教哲学を完成しました。彼等の精緻な論理は多くの支持者を集めて、この時代の最大勢力となりました。 |
B |
般若経
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説一切有部に対して、プラジニアの智慧によりお釈迦さまの真意を知る神秘的修行者がおりました。彼等は説一切有部の実在説に異議をとなえて般若経を書き空を主張しはじめました。それは瞑想の中で見た悟りの境地、瞑想の中で会った仏(悟った人)を直感と比喩で語るものでした。そして自分達が主張する空こそお釈迦さまの真意であるとしました。 |
C |
龍樹
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般若経を説く集団が現れてから、さらに二百年後に龍樹が現れます。龍樹は直感と比喩のみで説かれた般若経の空に論理を与え空の論理を完成する。空の論理は縁起の法を展開したもので、お釈迦さまの教えへの回帰でありました。空の論理は大乗仏教として仏教の基層となっていきました。 |
D |
般若心経の成立
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般若経誕生の後、そして龍樹の後も数百年経過する中、現代の仏教宗派の基礎となるさまざまの経典が誕生していきました。
そうした中で、お釈迦さま入滅後、七百年から九百年の間に起こった歴史的経緯と悟りの本質を簡潔にまとめ、その頃興起してきた密教の最強の呪を与えて、一つのお経を完成した修行者がおりました。それが般若心経です。彼もプラジニアの智慧によりお釈迦さまの悟りの本質を良く知る神秘的修行者であったのです。 |